エコポイントを活かす冷蔵庫選び
家庭での電力消費比率(資源エネルギー庁平成16年)
エコポイント制度が始まり対象製品の冷蔵庫の買い換えが増えています。家庭の電力消費比率ではエアコンに次いで多い冷蔵庫を最新モデルに買い換えると、地球温暖化を防止するCO2削減に貢献し電気代も安くなるので経済的にもメリットがありそうです。メーカー別の省エネ対策を紹介しながら、お得な冷蔵庫の選び方を紹介します。
エコポイントで購入好機到来か
エコポイント対象冷蔵庫 販売構成比推移 出典 GfK Japan
地球温暖化防止や経済振興策を狙いに2009年5月15日からはじまった「エコポイント制度」は、エコポイントの対象となった「地上デジタル放送対応テレビ」「冷蔵庫」「エアコン」の売り上げにかなり影響を与えています。販売価格に対してエコポイントの付与率が高い「地上デジタル放送対応テレビ」は当初予想通り、大画面テレビの購買意欲を刺激し、好調な販売を示しています。
一方「冷蔵庫」は販売金額に対してエコポイント付与率はあまり高くありません(下表参照)。たとえば、501L以上の大容量の大型冷蔵庫でもエコポイントが10,000ポイントですから、5%程度の値引きにしか相当しません。「地上デジタル放送対応テレビ」のエコポイントが約10%なのに比較すると、お得度は落ちます。それでも消費者の反応はよく、上の「エコポイント対象冷蔵庫 販売構成比推移」グラフにあるように、エコポイント制度が始まった5月頃から急に対象製品の販売構成比が上昇しています。
冷蔵庫は、ここしばらく薄型TVほど急激に値下がりせず、消費者の購入を刺激するトピックも無かったので、エコポイント対象製品となったことが消費者を刺激したようです。
冷蔵庫購入で付与されるエコポイント数
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政府の肝いりで始まった「エコポイント制度」ですが、地球温暖化防止(CO2排出量削減)という観点から見ると問題点も少なくありません。
エコポイント制度の問題
- 家電製品の買い換えは二酸化炭素の排出を促進する
- エコポイントは家電製品の買い換えを促進する制度です。確かに最新モデル家電は旧モデルよりも消費電力は小さくなりますが、新しく商品を製造したり、古い製品をリサイクルするのにエネルギーを消費します。耐久消費財を頻繁に買い換えると地球環境保全と二酸化炭素排出削減のためには、マイナスに作用する可能性があります。
- 期限がありCO2削減効果は限定的
- エコポイント制度は2010年3月末までと期限があります。結局需要の先取り制度とも考えられるので、一定の経済効果はあっても長い目で見ると地球温暖化防止効果はあまり期待できません。
参照:グリーン家電普及促進事業 エコポイント
参照:エコポイント - 環境省・経済産業省・総務省
各社冷蔵庫 省エネ性能比べ
パナソニックと日立 冷蔵庫の省エネCM比較
冷蔵庫も主要家電メーカーから毎年新製品が発売され、購入時を選ぶのが難しい家電製品です。各社消費電力の削減に力を入れ、毎年確実に省エネ化が進んでいます(上図参照)。
冷蔵庫もエアコンと同じく熱効率を良くしたり、断熱性能を向上させることが消費電力削減に貢献します。冷蔵庫の省エネ技術ポイントを次に挙げます。
- コンプレッサー
- 断熱性能
- レイアウト
- 運転制御
最新の400L以上冷蔵庫はインバーター制御が採用され、基本技術はほぼ横並びです。しかし、各社それぞれの特徴もあり、省エネ技術もまだ発展する余地はありそうです。
メーカー別 省エネ冷蔵庫の技術ポイント
- パナソニック レイアウトと断熱
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パナソニックはコンプレッサーを小型化、さらに熱を発するコンプレッサーを最上部に移動させ、廃熱で冷蔵庫自身が温まることを避けています。同社の採用する真空断熱材「U-Vacua」は従来のウレタン製断熱材より薄いながら高い断熱性能を発揮します。
- 日立 断熱とコンプレッサー
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日立が得意のコンプレッサーはハイパワーとコンパクトを両立した高効率タイプ、さらに省エネに貢献する「フレックス真空断熱材」は真空度がより高められ、従来のウレタン断熱材比約20倍の断熱性能を誇ります。
- 三菱 運転制御と配置
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三菱は分割された庫内単位でセンサーを設置し、冷やし過ぎの無駄を省いています。また「ecoモード」を備え、通常時より約5%消費電力を削減できます。ドアに収納したドリンクが取り出しやすい「ヨコ取りポケット」は、ドアを少し開いただけでペットボトルが取り出せ冷気を逃がしません。
主要メーカー製冷蔵庫は冷媒にはほぼすべてノンフロンガス(代替フロン)が使用されています。フロンガスはオゾンを破壊するとして、既に製造は中止されています。ただし、代替フロンはオゾンは破壊しない代わりに温暖化効果はフロンガスよりも大きいとも言われます。冷蔵庫を買い換えるときは、必ず家電店に引き取ってもらうか正規のリサイクル業者を選びましょう。
(参照:冷媒の環境問題)
大手メーカー 冷蔵庫比較
1998年比約40%省エネ(401L~450L)
上のグラフに示すように冷蔵庫は最新モデルほど消費電力が少なくなっています。家電製品の買い換え年数を調べると、テレビが約8年なのに対し、冷蔵庫は故障しない限り10年以上使おうと考えている人が大半です。しかし、旧型の冷蔵庫ほど消費電力は大きく、エコポイント制度を利用して省エネが進んでいる最新モデルに買い換える方がCO2削減に効果がありそうです。
冷蔵庫を選ぶときに大事な要素に収容できる容量(内容量)があります。通常大きなサイズほど消費電力が大きいと思ってしまいますが、実際は一人用などの小型冷蔵庫より400~450L程度のサイズが最も消費電力が小さくなります。下記比較表を参考に、年間消費電力の少ないモデルを選びましょう。
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いくら最新省エネモデルの冷蔵庫を買っても、使い方を注意しないと消費電力が増えてしまいます。省エネに効果的な使い方を紹介します。
- 側面や背面に間隔を空ける
- ものを詰めすぎない
- ドアの開閉は少なく、短く
- 季節毎に設定温度を調節する