プリウス対インサイト環境に優しい車は
プリウス(左)とインサイト(右)の外観比較
米ビックスリーのお膝元デトロイトで開かれた自動車ショーに、ハイブリッドカーを代表するトヨタ”プリウス”とホンダ”インサイト”の新モデルが発表されました。
プリウス(prius)は今回で第三世代となるフルモデルチェンジで、日本では2009年5月から発売される予定です。一方インサイト(insight)は、初代インサイト発売後、そのハイブリッドシステムはシビックに受け継がれて、今回は第二世代インサイトとして、5人乗りの実用性の高いモデルとなりました。日本では2009年2月から発売されます。
ハイブリッドシステムとは
プリウスとインサイトのハイブリッドシステム比較
エンジンにモーターと電池を組み合わせたハイブリッドカーが注目されるのは、エネルギー利用効率が高く、燃費が良いことにあります。
一般にエンジンは回転数の低い低速走行時は効率が悪く、さらにアイドリングで無駄なガソリンを消費します。一方電気モーターは回り始めのトルクが大きく、エンジンの弱点を補う補完関係にあります。
さらにハイブリッドカーは、車の減速時には発電機を回して電気を発電し、二次電池に蓄えて次の加速に利用するという回生エネルギー利用の工夫も出来ます。
ハイブリッドカーの心臓部である、エンジンとモーターの関係は詳細に調べると各社特徴があります。プリウスのハイブリッドシステムとインサイトのハイブリッドシステムを比較すると、それぞれの車のコンセプトが見えてきます。
モーター主体のプリウス対エンジン主体のインサイト
- スプリット方式のプリウス
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トヨタ「プリウス」のハイブリッドシステム「THSⅡ」は、スプリット方式(分割方式)と呼ばれるエンジンとモーターを独立して制御するエネルギー効率の優れたシステムです。スプリット方式ではエンジンの動力を駆動力に使ったり、発電機を回すために使ったり分配割合を自在に制御できます。
プリウスが始動時や低速走行時にモーターだけで動くのは、スプリット方式のおかげです。スプリット方式ではモーターの使用率が高いためより出力の大きなモーターが使われます。部品点数は少なくなりますが、エンジン、モーター、動力配分など制御は複雑となります。 - パラレル方式のインサイト
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ホンダ「インサイト」のハイブリッドシステム「IMA」は、パラレル方式と呼ばれるエンジンとモーターを同時に駆動し、エンジンとモーターの得意な部分を利用するシステムです。
インサイトのIMAは、エンジンとモーターが同一軸に直結されたシステムで、エンジンの駆動力をモーターが補助します。モーターは補助動力や発電機として利用し、モーター単独で車を動かすことは出来ません。
パラレル方式は機構が複雑になりがちですが、カーエレクトロニクスの発達で小型化、効率化しています。
参照:トヨタ THSⅡシステム
参照:ホンダ IMAシステム
カタログ性能比較
ハイブリッドシステム モーター比較(左IMA内蔵モーター、右 THSⅡ)
トヨタ「プリウス」は、今回のモデルチェンジでエンジンの排気量を1.5Lから1.8Lに大型化しました。ホンダ「インサイト」は、初代インサイトの1.0Lエンジンよりも大きいとはいえ、シビック・ハイブリッドよりも少し小さい1.3Lエンジンを搭載しています。
プリウスもインサイトも今回のモデルチェンジで車体の設計からやり直しています。特にインサイトはハイブリッド専用車とし、5ドア5人乗りとプリウスと購入ユーザー層が重なる完全なライバル車となりました。
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エンジン排気量の大きいプリウスの方がシステム全体の最高出力は大きくなっています。また、モーター単独で走ることがあるプリウスはモーター出力も大きくなっています。
燃費はプリウス 価格はインサイト
プリウスとインサイト コックピット比較
カタログ性能を見比べてもわかるように、燃費ではプリウスがインサイトを上回っています。1.8Lのエンジンとパワーアップしたモーターを積み、総合出力では2.4Lクラス並みの新型プリウスが、燃費では米国基準で50mps(1ガロンで50マイル走れる)、日本の10・15モードで38Km/Lを達成したのはハイブリッドカーの省エネ性能とパワーある走りの両立を示しています。しかし、パワーアップし車格が上がったことで販売価格が現行モデルより上がり、250万円前後からになると言われていました、しかし当初の目論見は変わってきたようです。
一方のインサイトは燃費こそやや劣りますが、採用されたハイブリッドシステムは、シビック・ハイブリッドのIMAを改良し小型化した、実績あるシステムです。ホンダは新型インサイトの車両本体価格を189万円~221万円と発表し、値段の安さを前面に出しました。ホンダの価格戦略が当たったのか、インサイトの受注は予想を遙かに超え、工場はフル生産状態だそうです。
トヨタはインサイトの好調を受けて、新型プリウスの価格設定を見直しました。当初の最低価格250万円を改め205万円程度のLグレード車を用意しました。この新プリウス価格設定の変更で現行プリウス(2代目)の価格をさらに下げ新型インサイトと同一価格に設定する模様です。
トヨタとホンダによるハイブリッド車の盟主争いは、ハイブリッド車の低価格化を進め普及を促進しそうです。
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車の燃費は運転する人によっても変わります。いくらハイブリッドカーを買っても、下手な運転をすると燃費が悪くなります。最新ハイブリッドカーには、運転者の省エネ運転をサポートする機能も備わっています。
(参照:ロハス流運転術)
付加機能でもエコ性能を競う
- 新型プリウスは太陽電池パネル設定あり
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トヨタ「プリウス」はオプションで太陽電池付きルーフを選ぶことができ、太陽電池の電力で車内のファン「ソーラーベンチレーションシステム」を回し夏場の温度上昇を抑えることが出来ます。また、エアコンを遠隔操作でき、バッテリー駆動のエアコンであらかじめ車内を涼しくしておくことも出来ます。
エコドライブをサポートする機能として車の制御を燃費優先にする「エコモードスイッチ」があります。 - インサイトはECONで省エネ運転サポート
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ホンダ「インサイト」にはドライバーの省エネ運転をサポートするる「エコロジカル・ドライブ・アシスト・システム」が搭載されます。このシステムは、エンジンとCVTを協調制御する「ECONモード」、メーターの色変化で燃費走行状況を表示する「コーチング機能」、燃費運転の採点をする「ティーチング機能 -採点機能-」の3機能があります。
「ECONモード」ボタンを押すと省エネ運転モードとなり、燃費効率が良いエンジン回転数やスロットル開度を保ったり、アイドリングストップ時間を延長したり、減速時の回生充電量アップして、より環境に優しい運転をサポートしてくれます。