北極海の氷が消滅!?
地球温暖化の影響は、私たちの身の回りでも見られるようになりました。
2007年、日本では猛暑が続き9月後半でも30度を超える日が続きました。ところが11月になると一転急激に気温が下がり、秋が深まると言うよりいきなり冬になったような寒さが襲ってきました。
このような気候の変化は、日本ではこれまでのような四季の変化を楽しめなくなるのではないでしょうか。
そんな、地球温暖化の影響が最も顕著に表れているのが北極地域なんです。
この記事では、北極地域に現れている急激な環境変化をご紹介します。
JAL機長がまばらな北極海の氷を撮影
海が見える北極海 @Yomiuri Online
右の写真は、日本航空の機長(小林宏之機長)が2007年8月29日にカナダ・バンクス島沖上空から撮影したものです。小林機長によるとこの地域は2000年頃から20回以上飛行している地域で、年々夏季に海氷の融解が拡大していたとのことですが、2007年の夏は特別海氷の融解が進んだとのことです。
北極海の海氷を観測している海洋研究開発機構も「海氷の大規模融解を裏づける貴重な資料」と注目しています。
史上最小の北極海海氷、上空1万メートルから機長撮影
地球温暖化の影響は北極地域で顕著に
地球観測衛星のデータを使って地球の気候や環境の調査研究を行っている地球観測研究センター(EORC)の調査でも、2007年夏北極海の氷の減少が裏付けられています。
これまで北極海の氷が最も小さくなったのは2005年夏で、氷の面積は約530万平方キロメートルでした。ところがJAXAの観測センサAMSR-Eによると、2007年9月24日に記録した北極海の氷の面積は425.5 万平方キロメートルまで減少したのです。
2005年夏最小時の氷の面積と比較すると日本列島約2.8個分の氷が消滅してしまったのです。
北極域海氷の変化(左:2005年-右:2007年) @EORC
JAXAの観測センサAMSR-Eは、各種の観測装置や衛星写真を使って北極海の氷の状況を観測しています。2007年夏の特徴はシベリア、アラスカ沖の海氷が大きく消滅してしまったようです。また、例年であれば溶けないカナダ北部の海氷も消失しているのです。
衛星写真でも北極海の氷が最小に
北極海の衛星写真 @Reuters News
米国のコロラド大学ボールダー校にある国立雪氷データセンターも2007年10月 北極海の海氷が観測以来最も小さくなったと発表しました。
同センターのウォルト・マイヤー研究員は北極海の海氷がこれほど小さくなったのは、人類がもたらした地球温暖化の影響だと指摘しました。
最もこのような海氷の消失で恩恵を被っている業界もあります。それは海運業界、いままで使えなかったカナダ北部の北極海周りで太平洋と大西洋を結ぶことが出来るというのです。風が吹けば桶屋が儲かるという訳ですね!?
研究者によると今後25年以内に夏の北極海では海氷が姿を消してしまうかもしれない、と言うのです。いやそうなったら、北極海だけの話では済まされないでしょう。食糧問題、石油問題、あらゆる問題が勃発するに違いない...
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南極ではオゾンホールが拡大
南半球のオゾンホール経年変化(左:1979年-右:2007年) @気象庁
南半球ではオゾン層の破壊による有害な紫外線の影響が深刻です。
オゾン層は宇宙から降り注ぐ有害なエックス線や紫外線が地球表面に届くのを防ぐ役割をはたしています。オゾン層は地球の生物に対して紫外線バリアーとなっているのです。
ところが、このオゾン層が地球の極地域で減少しています、特に南極上空のオゾン層減少が顕著でオゾンが少なくなっている部分をオゾンホールと呼んでいます。
オゾン層の破壊は、主にフロンなどの人工物質排出が原因しています。既にフロンの製造は禁止されていますが、クーラーや冷蔵庫の不法廃棄などによるフロンガスの排出は完全には止まっていません。
(参照:家電リサイクル)
(参照:温室効果ガス25%削減はCO2よりもHFCが問題)
2008年夏は昨年よりオゾンホール拡大
オゾンホールの南極大陸との面積比
2007年はオゾンホールが比較的小さかったのですが、2008年はオゾンホールが拡大すると世界気象機関(WMO)が発表しました。オゾンホールの拡大はピークアウトしたと言われていますが、南半球では毎年8月から11月にかけてオゾンホールが拡大します。
この時期は、外出時には紫外線対策が欠かせません。オーストラリアでは子供が屋外に出るときには必ず帽子を着用するように言われています。
紫外線の増加は日本にも影響与えています。観測によると1970年代と比較して約8%紫外線量が増えています。北極に近い北海道ではよりオゾンホール拡大の影響を受けやすく、紫外線の増加も多くなります。
日本でもオーストラリア並みに紫外線対策を検討しないと今後皮膚ガンが増える可能性もあります。