急激な円高で為替市場今後の行方は
シカゴ市場円先物投機ポジション
為替市場で円が急騰しています。2月後半の120円台から3月5日には115円にまで円高に振れました。今回の円高要因を分析してみます。
今回の世界的な投資市場の混乱は、2月末に起こった中国上海株式市場での株の急落に端を発しています。この株安がアメリカのニューヨーク市場にも波及し東京市場でも株の下落が止まらない状況です。日本市場の株安要因には為替市場に於ける日本円の急激な円高も原因の一つとなっています。
今回の円高要因としては、次の原因が考えられます。
- 円高要因
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1.日米金利差縮小
2.アメリカ経済の下落懸念
3.円キャリートレードの巻き返し
4.世界経済が不安定
為替が円高に振れている要因はいくつかありますが、やはり3番の「円キャリートレードの巻き返し」が大きな割合を占めているのではないでしょうか。右上図にある「シカゴ市場円先物投機ポジション」を見てもわかりますが、日銀によるゼロ金利解除後も円を売るキャリートレードは積み増されていました。
これらの資金はリスクの高い投資資金に使われている可能性が高く、今回のような株価急落時には一斉に引き上げられる性質のものです。
今回の円高では米ドルに対してだけでなく、オーストラリアドル(豪ドル)、ニュージーランドドル(NZドル)、英ポンドに対しても円高に振れています。ここにも円を売って金利の高い外貨で運用していた投機筋や個人投資家が慌てて買い戻している様子が伺えます。
今後為替がどのように動くかは、アメリカ経済の減速がどの程度に収まるかに左右されるでしょう。米国の経済指標発表や要人発言には引き続き注意が必要です。