日銀8月利上げ見送りで次回利上げ時期が焦点

日銀金利レート

日銀は8月の金融市場委員会で短期市場金利誘導目標を現状通りの0.5%を維持しました。利上げを見送ったのは、米国のサブプライムローン問題による世界的な株価の急落や短期市場における金融不安の兆候が見られたからです。

サブプライムローン問題は米国では昨年末から指摘されていた問題ですが、7月末頃から世界的な金融不安材料としてクローズアップしてきました。これまで米国を潤してきた、海外からの投資資金の供給が滞るとさらに米国の金融市場に変調をきたします。
FRBをはじめ、各国の金融当局はいち早くこの問題に対応し、短期金融市場に資金を供給し、大きな問題には至っていません。

一時111円台まで急騰した円ドル相場もこのところ115~117円程度に戻し、やや落ち着きを取り戻したように見えます。
日本の実体経済はこのような急激な株安や円高にかかわらず、緩やかな成長を続けています。しかし、日銀は世界の金融市場環境を無視するわけには行かず、8月の金利引き上げを見送りました。日銀による利上げ見送りは、ほぼ織り込み済みで市場の大きな反応はありませんでした。

為替市場の関心は、日銀による次の利上げはいつ行われるのかに移っています。これまでは、8月利上げが見送られた場合は、9月に利上げが実施されると見られていました。
現在の市場状況から次回の利上げ時期を考察します。

日銀の9月利上げ判断材料

  • 米国FF金利の利下げは
  • ECBによる利上げは実施されるか
  • 国内経済指標

日銀の福井総裁は、8月の決定会合後の記者会見で「穏やかな景気拡大は続いている」と表明しています。国内の経済・物価情勢は日銀のシナリオ通りに推移していると見られます。
しかし、世界の金融市場の混乱が実体経済に波及することは十分考えられます。一番の懸念は米国での金融不安が落ち着くかどうかでしょう。8月に実施された公定歩合の緊急利下げや資金供給で短期市場は落ち着きを取り戻しています。ただ、FRBによるFF金利の引き下げが行われると見る向きもあります。
米国でFF金利が引き下げられると、日銀は利上げを実施しにくくなります。またヨーロッパのECBは9月にも利上げを行うと見られていますが、世界の金融情勢を鑑みて利上げを見送ることも考えられます。
日銀の福井総裁は「他国の金融政策に影響を受けることはない」と発言していますが、実際には大きな影響を受けていると見るのが自然です。引き続き、世界各国の金融政策や経済指標を慎重に見極める必要がありそうです。

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